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シニアの趣味としてウォーキングが人気!高齢者におすすめの理由とは?

スポーツ後の高齢者夫婦

ウォーキングは気軽に誰でもできるため、シニア向けの運動としての人気が根強いです。

平成30年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(平成31年1月調査)によると、1 年間に行った運動・スポーツの種目については、「ウォーキング」を挙げた人の割合が 62.1%と最も高く、年代別に見ると、「ウォーキング」は 70 代で最も高くなっていると出ています。

高齢者・シニア世代にウォーキングがオススメな理由

年齢に関係なく気軽に始められるウォーキングですが、実は、高齢者やシニアにとってメリットがいっぱいの趣味といえます。

ここでは、高齢者やシニアの趣味としてウォーキングがオススメな理由を見てみることにしましょう。

生活習慣病の予防になる

そもそもウォーキングとは、「健康を目的とした散歩」のことで、脂肪の燃焼や体質の改善に効果的とされる「有酸素運動」を代表する運動です。当然ながら、ウォーキングの健康効果はかなり多く、高齢者やシニアにオススメの運動と言えます。

例えば、高血圧や高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病予防にはウォーキングが効果的とされ、体内の脂肪を効率よく燃焼し、血液中の中性脂肪を分解する酵素を活性化させると言われています。

参考:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「ウォーキングの効果と方法

また、ウォーキングは血液中のブドウ糖を利用することで血糖値を下げる効果があることから、糖尿病の改善にも繋がるととされ、高齢者やシニアが気になる疾病の予防に効果的です。

なお、ウォーキングの消費エネルギーは、歩き方によって異なってきます。普通に歩くよりも、大股で歩いたり早歩きをすることで消費エネルギーは多くなります。

認知症の予防になる

全身運動のウォーキングは、認知症の予防にも効果的だと言われています。

とは言え、実のところウォーキングが認知症の予防になるハッキリとした理由は分かってはいませんが、さまざまな研究によって多くの仮説が立てられているのもまた事実です。

仮説のひとつに、神経伝達物質の「アセチルコリン」が認知症の予防に大きく関わっているのではないか、というものがあります。

アセチルコリンは、脳内の記憶に関わる部分である海馬や大脳皮質から多く放出されていますが、高齢者、あるいはアルツハイマー型認知症の患者の場合、この海馬や大脳皮質の血流が悪くなり、神経伝達を司るアセチルコリンの放出量も低下するとされています。

つまり、認知症には血流の善し悪しが大きく関わるということで、血流の改善効果のあるウォーキングは認知症に効果があるとされている訳です。

血圧があまり上がらない程度のスピードで歩くことで、海馬のアセチルコリンが増加し血流が増えることが確認されているので、無理のないペースでウォーキングをするようにしましょう。

骨粗鬆症の予防

ウォーキングは、高齢者やシニアに発症例の多い骨粗鬆症を予防する効果があるとされています。

適度な運動であるウォーキングをすることで、骨の強化に必要な「カルシウム」の吸収が高まり、太陽の光を浴びることでカルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」が体内で生成されます。

高齢者やシニア世代は転倒などによって骨折してしまうと、入院を余儀なくされてしまったり寝たきりになってしまう可能性がありますが、ウォーキングをすることで、転倒を防ぐための足腰の強化や、丈夫な骨づくりが期待できます。

ストレス発散になる

ウォーキングをすることで、イライラや不安な気持ちを抑えて心身の安らぎを与える「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されます。

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心のバランスを整えるのに重要な物質です。セロトニンが不足すると、ストレスが溜まったり、落ち込みやすくなったりと心のバランスが取りにくくなってしまい、高齢者やシニアの生活にとってあまり良い状況とは言えません。

セロトニンは、太陽の光を浴びることで分泌が促進されるので、ストレス解消にはウォーキングはもってこいの運動と言えます。

また、ウォーキングを通じて、近所の人や他のウォーキングをしている人へ挨拶するなどの交流が増え、社会的な繋がりを感じることができる点も、ウォーキングを高齢者やシニアにオススメな理由と言えるでしょう。

高齢者やシニアがウォーキングする際の目安・ポイントは?

高齢者やシニアにとって健康効果の高いウォーキングですが、どれ位を目安に行えば良いのでしょうか?ここでは、高齢者やシニアがウォーキングする際の目安やポイントを押さえておきましょう。

高齢者やシニアのウォーキングの目安

厚生労働省の政策である「健康日本21」によると、日常生活における高齢者の歩数は男性で約5,430歩、女性で約4,600歩となっており、今後10年の目標値として男性で6,700歩、女性で5,900歩という数字が掲げられています。

参考:厚労省「身体活動・運動

それでは、高齢者やシニアがウォーキングをする際の目安はどうでしょうか?

定年退職直後の60~64歳までは一日あたり約8,000歩、その内早歩きを30分すると良いとされています。

65歳~74歳までのシニア世代は一日あたり7,000歩、その内早歩きを20分するとよく、75歳以上のハイシニアは一日あたり5,000歩、その内7.5分を早歩きすると良いとされています。

家事をこなすだけでも3,000歩になると言われているので、その分を差し引いた歩数が各年代のウォーキングの目安と言っていいでしょう。

ちなみに、家事それぞれの歩数ですが、掃除機かけで約1,000歩、干す、取り込むなどの一連の行動を含めた洗濯で約1,000歩、庭の水やりや料理、料理の後片付けで約800歩と換算されます。

普段あまり家事をしなかったり、買い物などの移動手段はもっぱら車という人は、ウォーキングの際に目安となる歩数を多めに考えておいた方が良いかもしれません。

高齢者やシニアのウォーキングのポイント

高齢者やシニアがウォーキングする際に押さえておきたいポイントとしては、メリハリを付けたウォーキングを心掛けるようにしましょう。

メリハリを付けるというのは、普段歩きと早歩きを組み合わせるということ。普段歩きのまま、ゆっくりと歩き続けることも決して悪くはないのですが、部分的に早歩きを取り入れることで、より足腰の強化が期待できます。

ジョギング風景

「インターバルウォーキング」と呼ばれるメリハリを付けたウォーキングは、早歩き3分、普段歩き3分を目安に繰り返し行うウォーキング方法で、30分間続けて行うと良いとされています。

ただし、これはあくまでも目安であり、体力には個人差があります。早歩きを3分間も続けられないといった場合には、普段歩きを長めに取って、早歩きをする時間を縮めることもOK。無理なく継続して行うことが大事となります。

また、歩く際は、正しいフォームを取り入れることも忘れずに行いたいポイントです。

視線はまっすぐに前を向き、頭のてっぺんが空からつり上げられていることをイメージして、背筋をまっすぐにして歩きます。肘を曲げて、しっかりと腕を振ることで、自然と前へ歩を進めることができるでしょう。

かかとからつま先まで自然に重心を移動させることを心掛け、つま先で地面を踏み込むときは足の親指から小指まで、すべての指が働くことを意識して歩くようにします。

ウォーキングをする際は、自分の足に合った靴を履くことも重要。靴が合っていないと、靴擦れや捻挫の原因になってしまう他、足腰に余計な負担がかかってしまうこともあります。

健康維持にために行うウォーキングですので、必ず自分の足に合った靴を選ぶようにしましょう。

今話題のノルディックウォーキングもオススメ!

ノルディックウォーキングは、日本人の特性や生活習慣に合わせて考案された北欧生まれのウォーキングメゾットで、老若男女問わずウォーキング愛好者の中で話題となっています。

二本の専用のポールを両手に持って行うウォーキングスタイルで、体力に自信のない人や膝や腰に不安がある人でも、安心してウォーキングを楽しむことができるのが特徴です。

ミズノ・ノルディックウォーク

専用ポールがあることで、体に負担を掛けずに姿勢良く歩くことができ、転倒予防にも効果的とされています。

先程紹介したインターバルウォーキングとは正反対で、ゆっくりとしたリズムでウォーキングを行います。ゆっくりと歩くことで、心が落ち着きストレス解消やリフレッシュ効果も期待できます。

ポールを購入する必要があるためお金がかかってしまいますが、ゆっくり歩くことに重きを置きたいという人は、ノルディックウォーキングの方がオススメと言えそうです。

高齢者やシニアがウォーキングする際の注意点は?

過度に体に負担を掛けることなく誰でも行えるイメージの強いウォーキングですが、高齢者やシニアがウォーキングする際は、次のような点に注意して行うようにしましょう。

無理をしないこと

ウォーキングは体に負担を掛けない運動と言っても、やはり個人差はあります。もっと言えば、普段運動している人であっても、その日の体調によってさじ加減は変わってくると言えます。

ウォーキングは長い時間、あるいは長い距離を歩けば良いという訳ではなく、どうやって歩いたかが大事な運動といえ、言い方を変えれば、無理して行うことが逆効果になり得るということです。

運動に不慣れな人はもちろんのこと、普段から運動をしている人であっても体調や気分が優れないときは、絶対に無理をしないようにしましょう。

また、高齢者やシニアが趣味として運動を始める際には、一度、医療機関で運動禁忌がないか確認しておくと安心です。かかりつけの医師に相談をする、身体検査などを定期的に行うなど、丁寧な自己メンテナンスに取り組むようにしましょう。

準備体操やストレッチを行うこと

高齢者やシニアに限らず言えることですが、ウォーキングをする前には必ず準備運動を行い、ウォーキングが終わったらクールダウンとしてストレッチなどを行うようにしましょう。

特に、準備運動は高齢者やシニアにとってかなり重要といえ、準備体操を怠ると大きな怪我や命に関わる不調が生じやすくなります。

準備運動をすることによって、体や筋肉が温まり、血流が良くなることで体中に十分酸素が行き渡るようになります。

筋肉が温まると、関節の可動域も広くなるので、肉離れなどの大けがを防ぐことができるようになり、徐々に心拍数や呼吸数を上げていけるので心臓や肺などの負担を軽くすることができます。

また、クールダウンは、ウォーキング後の体温を穏やかに下げて、血液をゆっくりと心臓へ送る大切なプロセス。筋肉に溜まった疲労物質(乳酸)を取り除く作用もあり、疲労回復に時間のかかる高齢者やシニアは、できるだけ行うようにしたいものです。

交感神経と副交感神経の切り替えとしても大きな役割を果たすクールダウンは、急な血圧降下や心拍降下を防ぎ、めまいや貧血、失神を防ぐ役割も果たします。

熱中症に要注意!

熱中症も高齢者やシニアに限らず注意が必要なものですが、特に高齢者やシニアの場合、深刻な状態を引き起こしやすいので注意が必要です。

高齢者やシニアは、若い人に比べて体温調節機能が鈍くなっており、暑さを感じにくくなっています。

本来であれば水分補給が必要なタイミングであっても、なかなか補給しないというケースも少なくなく、熱中症にかかってしまう高齢者やシニアが後を絶ちません。

体内に溜め込んだ熱は翌日、翌々日まで影響し、2日後くらいに倒れてしまう人が多いと言います。

ウォーキングの際はこまめに水分を取ることはもちろんですが、歩いている最中に少しでも異常に気づいたらウォーキングを中止し、木陰など涼しい場所で休むようにしましょう。

症状が改善しない場合は、家族を呼んだり救急車の要請も必要と言えますので、携帯電話も一緒に持ち歩くことを忘れずに。

熱中症は、年齢に関わらず人を死に至らしめる恐ろしい症状です。熱中症にかかってしまう危険性のある気温や時間帯は避けて、安全にウォーキングを楽しむようにしましょう。

最近はポケモンGoなどのアプリも人気です

最近は、高齢者やシニアの間でポケモンGoなどのアプリゲームを使ってウォーキングをするのも人気となっています。

ポケモンGoとは、ゲームやアニメで人気を博す「ポケットモンスター」をもとに作られたスマートフォン向けのゲーム。スマートフォンに内蔵されているカメラやGPS機能などを使って、画面上に出現するキャラクター(ポケモン)をアイテムを使って捕まえて育成していきます。

街や公園でスマートフォンをかざすことでポケモンがゲットできるポケモンGoは、AR(拡張現実)技術をスマートフォンで手軽に体験できる!と、たちまち話題となり、今ではポケモンGo以外にもドラゴンクエストをもとに作られた「ドラゴンクエストウォーク」なども人気となっています。

ポケモンGoが高齢者やシニアから人気な理由としては、何と言っても「楽しみながらウォーキングできる」というところではないでしょうか。

ポケモンGoにはさまざまなキャラクターが登場しますが、スポットごとに出現するポケモンが違うため、たくさん集めるためにはとにかく歩くしかありません。つまり、自然と歩く習慣が身につくというわけです。

せっかくウォーキングをするなら、楽しく長く続けたい、という人にオススメと言えるでしょう。

そして、もうひとつ、ポケモンGoが高齢者やシニアから人気がある理由として、お孫さんと趣味を共有できると言うところも外せません。

ポケモンは老若男女問わずに愛される作品で、子供達からも絶大な人気を誇っています。お孫さんと一緒に遊びながら楽しくポケモンを探せて、運動不足も解消できる。高齢者やシニアにとって、一石二鳥ですよね。

ウォーキングはお金をかけずに年齢に関係なく行える運動で、体に負担を掛けることなく、多くの健康効果も確認されています。とは言え、無理は禁物!自分の身体と相談しながら、楽しく行うようにしましょう。

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