定年退職をして、時間に余裕が出来たシニア世代の多くが趣味を楽しむ時間を持つと言われています。
数あるシニアの趣味の中でも人気が高いのが「カラオケ」。少し前までは、飲み会の二次会で多く使われていましたが、現在では、シニア層などをターゲットにした「昼カラ(昼間に利用するカラオケ)」などのサービスが充実しています。
さて、そんなカラオケですが、シニアにこそオススメの趣味ということをご存じでしょうか?
今回はシニアに人気の趣味「カラオケ」について、グッと掘り下げてお話ししていきます。
高齢者・シニア世代にカラオケがおすすめの理由
高齢者やシニア世代にカラオケがオススメな理由として、カラオケは健康効果が高いことがあげられます。
高齢者やシニア世代に限ったことではありませんが、自分が楽しいと感じる趣味をしながら健康になれるのであればこんなに嬉しいことはないですよね。それでは早速、具体的に見てみることにしましょう。
認知症予防
歌を歌ったり聴いたりすると、その時のこと鮮明に思い出すことはないでしょうか。そうした現象は脳に対して良い刺激となるため、認知症の予防に期待できると言われています。
また、カラオケで好きな歌を歌うことで、「幸せホルモン」と呼ばれるいくつかの神経伝達物質が分泌されることで脳が活性化し、認知症予防に繋がるとも言われており、カラオケは認知症の予防に効果的という声が多く聞かれます。
その他にも、新しく歌を覚えようとすることも脳に刺激を与えることになるので、認知症の予防を行いたい高齢者やシニア世代にとって注目の趣味といえます。
筋肉強化
カラオケで歌を歌うことは、実は全身運動に近いものがあります。
歌を歌うとき、お腹から声を出す「腹式呼吸」をしますが、この腹式呼吸は、腹筋や横隔膜、胸筋を刺激し鍛えることができます。
高齢者やシニア世代になると、どうしても筋肉が落ちてしまいがちですが、カラオケをすることで自然な形でトレーニングがすることができます。
また、腹式呼吸は筋肉の強化だけではなくダイエット効果にも期待ができます。
腹式呼吸を意識して歌を1曲歌った際のカロリー消費数は、何と100メートルを走ったのと同じくらいと言われています。実際に高齢者やシニアが100メートルを全力疾走するのはなかなか難しいですが、カラオケをすることで同じだけのカロリーを消費することが出来るのだから驚きですよね。
血流の改善
全身運動に近いカラオケは、血流の改善にも効果的と言えます。
カラオケをすることによって、筋肉が刺激され血管の収縮も活発に行われるようになります。その結果、全身に血液が行き渡るようになり、高血圧や冷え性の改善に繋がるとされています。
また、血流が良くなると心臓の動きも活発になるので、疲れにくく健康的な体に導いてくれます。
自律神経を整える
カラオケは人前で歌う機会が多いもの。「何だか緊張してしまう・・」と誰もが思うものですが、実はこの感情こそ、自律神経を整える重要なポイントだと言います。
自律神経とは、交感神経・副交感神経の二つに分けられ、自分の意思とは関係なく内臓や血管などを調節する神経のこと。交感神経・副交感神経がバランスよく働くことで自律神経が整います。
緊張する感覚は交感神経によるもので、歌い終わった後のスッキリした気分や達成感は副交感神経によるものといわれ、カラオケで歌うことによって、どちらの神経も刺激することができ、効率よく自律神経を整えることができます。
自律神経が整うことで免疫力も強化できるので、健康の気になる高齢者やシニアにとって朗報と言えるのではないでしょうか。
高齢者でも歌は上手くなるの?
さて、高齢者やシニア世代がカラオケを趣味とするときに最も気になるのが、「今からでも歌が上手くなれるのか?」というところではないでしょうか。
結論から言うと、高齢者やシニアでも歌は上手くなります。
もちろん、上手くなるためのちょっとした努力や工夫は必要になりますが、決して難しいものではありませんので、歌がうまくなりたい!という高齢者・シニアの皆さんは、ぜひチャレンジしてみて下さいね。
上達法① 曲を決める
歌の上達で、最も大事なのがこの部分です。
自分の持つ雰囲気や声質、音域などに合わせて曲を決めていきます。自分の声質に似ていると思う歌手を見つけて、その歌手の歌の中から選ぶと良いかもしれません。何曲も歌いたい曲があるという場合でも、ここでは1曲に絞ること。そうすることで、集中して覚えることができるので上達も早くなります。
また、できるだけ年齢にあった歌を選ぶようにしましょう。
声質が似ているからと言って、あまりにも年齢がかけ離れている歌手の歌を選んでしまうと見ている人は違和感を覚えてしまい、すんなりと歌を聴くことができません。
相手にも気持ちよく歌を聞いてもらうことを頭に入れて、選曲しましょう。
上達法② しっかりと曲を聴く
自分に合った曲を決めたら、その曲をしっかりと聴くことです。何度も何度も、歌いたい曲の音楽をしっかりと頭と耳に焼き付けて、その音に合わせて歌詞を口ずさんでいきます。
カラオケの上達するポイントは毎日の積み重ねと言われており、人によっては同じ曲を1000回歌って覚える!という人もいるようです。なかなか1000回は難しいにしろ、できるだけ多く曲を聴き、その歌手の真似をするぐらいの勢いで覚えても良いかもしれません。
上達法③ ウォーミングアップをする
実際にカラオケに行ったら、すぐに歌いたい曲を歌うのではなく、まずはウォーミングアップをするようにします。
というのも、人の喉は筋肉で出来ており、ほぐしてあげることで良いパフォーマンスができるようになるからです。例えるなら、運動する前の準備運動といったところで、準備運動をしっかりすることで怪我を防ぐことができますし、ベストな状態で挑むことができますよね。
ウォーミングアップの際は、自分が無理なく歌えるものを歌うようにします。1時間ほどウォーミングアップをすると、喉が程よく温まり、歌いたい曲を歌いやすくなります。
上達法④ ボイストレーニングをする
ボイストレーニングと聞くと何だか難しそうに聞こえますが、自宅で手軽にできるので、カラオケ上達のためにもぜひ実践してみて下さいね。
まず、スマートフォンを使っている場合は、ピアノの鍵盤アプリをダウンロードします。そして、適当にどの鍵盤でもいいので押して音を出し、その音に合わせて発声します。
このトレーニングはその音を認識してしっかりと発声できているかを確認するもので、毎日繰り返すことで正確な音を発声することができるようになります。
シニアにオススメの練習曲としては、男性は吉幾三さんの「酒よ」、石原裕次郎さんの「北の旅人」などがあり、女性は坂本冬美さんの「また君に恋してる」、テレサ・テンさんの「つぐない」などがありますよ。
定年後の交流の場としてカラオケはあり?
定年後は新しい人脈を築く機会が減ると言われていますが、カラオケにはその心配はなさそうです。
最近、特にシニアの間で人気の「カラオケ喫茶」をご存じでしょうか。カラオケ喫茶は、カラオケ店とは違って喫茶店にカラオケがあるという形態で、コーヒーやランチをとりながらカラオケを楽しむことができます。
営業時間は日中から夕方までと昼間が中心となっており、シニアが利用しやすい時間帯。カラオケ好きのシニア達が、自分の十八番を歌って交流をしています。
札幌市にも人気のカラオケ喫茶があります。その名も「カラオケ喫茶らい麦畑」。利用客の約9割がシニア世代で、昼頃は毎日満席となる人気店です。ランチ・ドリンク付き歌い放題で1,000円と格安で楽しむことができます。カラオケ仲間を作るために、お店に毎日通っている人もいるのだとか。
カラオケ喫茶は、シニアの社交場として今後もいろいろなところで目にする機会が増えるかもしれませんね。
その他、カラオケ喫茶の以外にも、カラオケを通じた交流の場はまだまだあります。
カラオケ教室やカラオケサークルなどは性別問わず、幅広い年代が利用していますし、のど自慢などのカラオケイベントの場合は、日頃鍛えあげた歌唱力を披露する絶好の場所。歌自慢の他のチャレンジャーの歌を聴くことは、自分の歌唱力アップにも繋がりますし、優勝という同じ目標に向かって切磋琢磨することで、自然と交流が生まれることでしょう。
このように、シニア世代にかかわらず多くの年代と交流を深めたい場合は、カラオケサークルや教室などを活用するといいでしょう。
一人カラオケという趣味もあり
カラオケは、みんなでワイワイ行うものというイメージがありましたが、最近では一人で思う存分カラオケを楽しむ「一人カラオケ」が流行っています。
一人カラオケのメリットとしては、気兼ねなく歌を歌うことができる点。歌の順番を待つことなく、自分の歌いたい歌を好きな順番で歌うことができます。
また、自信のない歌や初めて歌う歌を誰にも聞かれずに練習できるのも、一人カラオケの良いところ。同じ歌を何度も歌うことができるので、練習の場としては最適です。
採点機能を使ってカラオケをすることで、自分の歌の評価を目で確認することができるので、カラオケの上達にも繋がります。
カラオケは好きだけど、他の人と一緒に歌うことには恥ずかしい・・という人は、一人カラオケを趣味にてみてはいかがでしょうか。
カラオケ教室にはどんなものがあるの?
本格的にカラオケに取り組むと考えたときに、カラオケ教室へ通うことも選択肢に入るわけですが、カラオケ教室にはどういったものがあるのでしょうか。
演歌や歌謡曲を中心に学びたい
カラオケ教室には、演歌や歌謡曲を中心に教えてくれるところがあります。
例えば、東京や神奈川、千葉に店を構えるカラオケ店「カラオケの鉄人」では、カラオケ教室を実施しています。教室はカラオケ店で行うので、音響設備はバッチリ!最寄り駅からも近く、天候に左右されることなく通うことができます。
入会金無料で受講料は1回2,500円、月謝ではないので受講した分だけ支払うので、万が一キャンセルしてしまった場合でも受講料だけが引かれる心配がありません。
見学や体験レッスンも実施しているので、興味のある方はカラ鉄のカラオケ教室へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
関西を中心に東海、九州などに店舗を構えるジャンカラでもカラオケ教室を実施しています。
プロのカラオケ講師が担当し、毎週木曜日に開催されています。自分一人だけでもいいですし、家族や友人と一緒に参加することも可能です。
受講料は1~2名で30分1,500円、3~4名で60分1,500円、5~7名で60分1,000円となっており、8名以上の場合90分で1,000円となっています。
レッスン内容としては発声練習やビブラート、こぶしなどのテクニックの他、自分が練習したい曲のアドバイスも受けることができます。
青春時代のポップスを中心に学びたい
カラオケ教室に行くなら、青春時代のポップスを中心に学びたい!という人は、楽器メーカーのヤマハが運営する「ヤマハ青春ポップス教室」はいかがでしょうか。
「歌って踊れる青春ポップス」「あの頃の歌が、あの頃よりずっと楽しい」をキーワードに、シニア世代が青春時代に歌った曲を中心に学ぶことができます。参加者の声としては、「歌謡曲をみんなでハモれて楽しかった」「大きな声で歌ったらモヤモヤが吹き飛んだ」などがあり、楽しく学べることがうかがえます。
映像を使って歌を習う新しいスタイルで、楽譜が読めなくても安心。簡単なハモリやステップをみんなでワイワイ楽しみながら学べるのでストレスがかかりません。
月2回実施しており、1回90分で月額3,500円(税別)、入会金は2,000円(税別)が別途かかります。見学、体験、入会は公式サイトから行えますので、気になる方は公式サイトをチェックしてみて下さいね。
童謡や唱歌、コーラスを中心に学びたい
童謡や歌唱を中心に学びたいのであれば、東京都内や近郊に40会場ある、宮地楽器音楽教室のコーラス教室はいかがでしょうか。
童謡や唱歌は身近でありながら、大人になるとなかなか歌う機会がないもの。だからといって、実績のありすぎるサークルに入るのは何となく敷居が高いものです。宮地楽器のコーラス教室は、そうした堅苦しさがなく、一人でも学ぶことができます。
入会金は11,000円で共通していますが、月謝は教室によって異なるので注意が必要です。また、個人レッスンやグループレッスンなども教室ごとに異なるため、その点もチェックしておきましょう。
体験レッスンや見学も随時受付けているので、興味のある人はホームページや電話、来店にて予約を取ってみてはいかがでしょうか。なお、体験レッスンは無料で受講できるので、気軽に足を運ぶことができそうです。
ゴスペルを中心に学びたい
ゴスペルは、アメリカ発祥のキリスト教の賛美歌で、黒人霊歌とブルース、ジャズが融合して誕生した歌と言われており、豊かな声量で周囲とバランスを取りながらリズムよく歌うのが特徴です。
映画「天使にラブソングを」を見て、ゴスペルに興味を持ったという人は少なくないのではないでしょうか。
たとえばゴスペルを教えてくれる教室としては、大阪梅田を中心に神戸三宮、京都などでレッスンを行っている「フェイスゴスペル」などがあります。
講師陣全員がプロのシンガーと言うこともあり、質の高い授業を受けることができます。また、全クラスとも駅から近く、通いやすいのも嬉しいポイントです。
通っている人のほとんどが初心者で、幅広い年代の人がいるので気後れせずにレッスンを受けることができ、発表の場とも言えるイベントやコンサートの数も充実。
月額6,000円(税別)ですべてのクラスに行くことができるため、空いている時間に気軽に歌うことが出来ます。
また、大手のヤマハミュージックレッスンや宮地楽器音楽教室でもゴスペル教室を開いているので、そちらもぜひ参考になさってみて下さいね。