定年を迎え、時間の余裕が出てきたシニア世代。せっかく時間があるのなら、新しい趣味として、将棋をはじめてみてはいかがでしょうか?
慣れていない方には将棋は難しそうに思えるかもしれませんが、ルール自体はそこまで複雑ではないので、初心者の方でも興味のある方は是非チャンレンジしてみてください。
将棋の醍醐味は?何が楽しいの?
まずは将棋の魅力をご紹介します!なんといっても、将棋の魅力は「読み合い」です。
次に相手がどう来るか、相手がこう来たら自分はこう動いて、といったように戦術を組み立てて駒を動かしていくのですが、その読みがぴったりと的中して勝てた際の喜びはひとしおです。
また、上手な人が考案した駒の動かし方を自分で取り入れて発展させてみたり、あえてパターンを破った動かし方を考案してみるなど、創意工夫すればより楽しめるゲームなので、体を動かすよりも、考えるのが好きな方におすすめです。
考えることが多いので、脳のトレーニングにも最適です。
はじめる段階で覚えることが少しだけありますが、最近ではわかりやすい入門書なども増えている上に、一度覚えてしまえば後は楽なので、気になった方はまず一度触れてみることをおすすめします。
高齢者には脳トレの効果も?
認知機能の低下抑制には、「高齢期から新しいことにチャレンジする」ことが重要で、東京都健康長寿医療センターの内科医・飯塚あい氏によると
参照:週刊新潮
また兵庫県加古川市の自治体では、将棋を活用した認知症の予防研究を推進しており、ストレスを軽減することで集中力や判断力が高まり、さらに将棋がうまくなるという話もあります。
将棋をはじめるのに必要な道具は?
将棋をはじめるためには、将棋盤と駒が必要です。
将棋盤と駒をそれぞれ別口で買うこともできますが、基本的には将棋盤と駒が1セットになった3,000円程度の初心者向けセットで大丈夫です。
なお将棋駒は1セットに2人分入っています。1つ買えば対戦することが出来ますので、2セット買う必要はありません。
※こちらは公益社団法人 日本将棋連盟が販売している初心者向けセットです。
将棋盤と駒のセットには20,000円~50,000円、高いものだと80,000円以上もする本格的な高級品もありますが、こうした高級品は構造上、将棋盤が重くなります。
高級品と廉価版の違いは、「特定の作法に則って駒を置いた際の音」しかないので、趣味として将棋をはじめる場合には、ご紹介したような廉価版のセット品を購入しましょう!
将棋のルールを学ぶには?
先述したとおり、将棋ははじめる段階で覚えることがそこそこ多いゲームです。
ルールを手早く学ぶには、やはり本で覚えるのが一番良いと思います。個人的な所感にはなってしまいますが、『羽生善治の強くなる将棋入門 5カ条で勝ち方がわかる』という本がおすすめです。
永世七冠という偉業を成し遂げた将棋界のレジェンド、羽生善治さん。テレビなどにもよく登場しているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
そんな羽生さんが初心者向けに執筆した『羽生善治のみるみる強くなる将棋入門』シリーズは、初歩のルール解説から駒の動かし方、そして局面ごとの考え方まで、将棋のすべてがわかりやすく解説されています。
熟読すればかなりの実力がつく本ですので、どんどん強くなって勝っていきたい、意欲的な方におすすめです。
また、もう一冊勉強のための本をご紹介させて頂くと、『新装版 ひふみんの将棋入門』という本も初心者の方におすすめです。
"ひふみん"の愛称で親しまれている将棋界の大御所、加藤一二三さん。現在は現役を引退していますが、最高齢現役棋士記録(77歳)の保持者としても有名です。
そんな彼が書いた『新装版 ひふみんの将棋入門』は、読みやすいことが最大の特徴です。「本を読むのが少し苦手」という方や「いきなり戦法とかを解説されても・・・」という方には、特におすすめです。
また、経験豊富な加藤一二三さんならではのエッセイも入っているので、同じシニア世代であれば読み物として読むのもいいかもしれません。
余談ですが、最近は入門書だけでなく、インターネット上にあるWebサイトでも、わかりやすくルールを解説しているところがありますので、ぜひ参考にしてみてください。
➡公益社団法人 日本将棋連盟:将棋の基礎知識
➡株式会社いつつ:はじめての将棋ルールブック
まずはゲームでコンピューターと対戦してみるのがおすすめ!
ルールをなんとなく覚えて状態で人と対戦するのはちょっと・・・という方も多いと思います。
初心者にまずおすすめなのはコンピューターと打ってみることです。機械相手なのでゆっくり考えながら打つことが出来ますし、ルールが良く分からずに恥ずかしいということもありません。
例えば、「ぴよ将棋」というアプリは、スマートフォン(スマホ)はもちろん、パソコン(PC)でもできる無料将棋アプリで、コンピュータを相手として将棋が指せます。
➡ぴよ将棋(Webサイト)
見た目も分かりやすいのでパソコンが苦手な高齢者の方でも始めやすいですし、コンピュータの強さは設定で変えられるので、自分にあったレベルで一歩ずつステップアップしていくことができます。
実際に人と打ってみたい場合は!?
ルールを覚えたあとで、実際に人と将棋を指してみたい!という方も多いと思います。
そういった場合にはインターネットで対戦相手を探すか、将棋センターなどの施設や将棋教室に行って一緒に将棋を指せる仲間を見つけるかのがおすすめです。
ゲームでオンライン対戦
さきほどのぴよ将棋などでもオンラインで対戦することは出来ますが、人が多くて活気がある方が対戦待ちの時間も少ないので、出来る限り人気のゲームを選ぶのが大事です。
日本将棋連盟公認の「将棋ウォーズ」や「将皇」が登録人数も多く対戦も活発なので頑張ってチャレンジしてみてもいいかもしれません。(これらはPC版以外にスマホアプリもあります)
なお将皇には対人戦用のアプリ以外にも、将棋の基本を学ぶモードや問題や詰将棋を解くモードがある入門編アプリが別途ありますので、こちらもおすすめです。
(➡Googleplay版、➡AppStore版)
将棋教室で実際に人と指す
やはり顔をあわせて指したい、という方は、日本将棋連盟が「将棋を人と楽しむことが出来る場所」として運営している、将棋センターや将棋教室に行きましょう。
日本将棋連盟運営の将棋センターや将棋教室では、自由に将棋を指せるのはもちろん、所定の申込をすれば、付属の将棋スクールで学べるほか、プロ棋士の指導も受けることが出来ます。
教室は、子ども向け・大人向け・熟年層向け・女性向け・全年齢層向けなど色々分かれていますので、コミュニティに参加するという意味でもおすすめです。
➡日本将棋連盟の将棋教室全国一覧ページ
参考:(東京)女性のための将棋教室、(大阪)梅田熟年入門教室
将棋センターや将棋教室は、北海道(札幌将棋センター)から福岡(小倉将棋センター)まで、全国の大きな市区町村にはたいていあります。
「月1回は最寄りの将棋センターに行って腕試しをしてみる!」・「隔週で〇〇市と××市の将棋センターを巡る!」などといった、定期的にいく楽しみを持つこともできます。
なお、「初心者だと弱くて、お互い楽しめないのでは?」と懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、将棋には「駒落ち」というハンデルールがあります。
これは、強い人があえて駒を落とす(使わない)ことで、初心者との実力差を埋め、初心者に将棋の勝ち筋や楽しさを覚えてもらおう!というものです。
この「駒落ち」というハンデがあるおかげで、初心者でも気兼ねなく楽しめることが、将棋のいいところの一つです。
各地の将棋センターには、独自のシステムがあることもあります。例えば新宿将棋センターでは、「手合カード」というものを使用して、色々な人と将棋を通して交流することができます。
「手合カード」を取っておけば、後から振り返った時に自分の今までの将棋歴が分かりますし、対戦を重ねるごとに「駒落ち」の枚数が減っていくのを見て、自分の成長を実感できます。
地域の将棋コミュニティに参加する
また、将棋連盟が主催する集まり以外にも、それぞれの地域の公民館などで開催されている集まりや、有志で作っている地元の将棋コミュニティなどがあります。
公民館などで開催されている集まりは、各市町村の広報・かわら版などで、将棋コニュニティはFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのSNSで参加者を募集していたりします。
本日は棋松会例会でした。
全部参加者は5名。
対局の多い会になったと思います。
愛知から風邪っぴきさんも参加していただいたので
皆さん力比べと言った感じになりました
マネージャーがひじりんから将棋教わってました。 pic.twitter.com/hVGVByUpiq— 社会人将棋サークル 棋松会《千葉県松戸市常盤平》 (@kishokai2013) February 23, 2020
こういった施設・グループには、定年後のシニア世代も多く集まりますし、将棋がきっかけとなって同年代の新たな友人ができた!という話もよく聞きます。
将棋を通してコミュニティを広げるのもシニアライフの充実に繋がりますし、近くに将棋センターや地域の将棋愛好会などがある方は、一度訪ねてみるのもいいかもしれませんね。
老後の目標はアマチュア六段?!段級の取得
せっかく趣味として将棋をはじめるならば、やはり目標を持ってやりたいものですよね。実は、将棋には公式でアマチュア用の段級制度があり、10級~1級、初段、二段~六段まで取得できます。
将棋の段級は運転免許などと違い、一度段級を取得すればずっと有効で、更新なども不要です。
免状(日本将棋連盟によって発行される、自分が今どのくらいの段級にいるのかを示す賞状のようなもの)を発行してもらって自宅に飾れば、お孫さんなどにも自慢することも!
ちなみに、級の認定方法は様々で、新聞に掲載されている将棋の問題を解くだけで級認定、といったものもあります。
ただし、将棋における初段以上は、地方の公認大会優勝レベルの実力が必要ですし、初心者から1級到達まで10年以上かかったという話も。
まずは比較的到達しやすい5級を目指して、じっくり挑戦していくのがいいかもしれませんね。
将棋に興味を持った方・久しぶりにやってみようと思った方は定年後・老後の趣味として是非チャレンジしてみては如何でしょうか!