定年後の生活

定年後にテレビばかり孤独な人生、居場所を作るための方法とは

定年を迎えると、今まで仕事をしてきた時間が丸々空いてしまう訳ですが、皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。

特に何もすることがなく、定年後はテレビを朝から晩までつけっぱなしという生活を送っている人もいるかもしれません。しかし、その過ごし方はシニアにとってあまりおすすめできない過ごし方とされ、より良いセカンドライフを過ごすには、定年後のシニアに適した居場所を作ることが大切です。

そこで今回は、定年後のシニアの過ごし方について徹底リサーチ!定年後にテレビばかりの生活がなぜいけないのか、定年後のシニアが居場所を作る方法などをご紹介していきたいと思います。

転職、趣味、社会活動・・定年後の過ごし方の現状は?

富士通総研によると、定年後の過ごし方として、大きく分けると3つに分類されることが分かりました。

1つめは起業や転職、請負など新たに仕事に携わる過ごし方。住宅ローンなどが残っている場合や、年金だけでは心もとないと感じる場合など理由はさまざまですが、セカンドライフも働いて過ごすというパターンがあります。

もちろん、経済的な部分での不安からだけではなく、自分自身が本当にやりがいを感じるので続けているという人も少なくなく、仕事に従事するために資格を取得するなど、前向きに働いている人もいるようです。

2つめの過ごし方としては、趣味など自分が関心のあることに時間を費やす過ごし方です。総務省が発表している「平成28年社会生活基本調査」の生活行動に関する結果によると、趣味や娯楽の行動率、平たく言うと趣味や娯楽を楽しんでいる人の割合は、60~64歳で約60%、65~69歳で約50%、70~74歳で60%弱となっており、75歳では60%以上と高い数値となっています。つまり、定年後約半数の割合の人が趣味などの自分が関心のあることに時間を費やしていることになるわけです。

3つめは、地域活動や社会貢献に取り組む過ごし方。町内会の活動に参加したり、住んでいる地域のサークル活動に参加するなどがあげられ、ボランティア活動も含まれます。

ただし、いわゆる「敬老会」というものに関しては年々減少傾向にあるようで、その理由としてネーミングに違和感を覚える、あるいは自分より年配の人に部下のように扱われるのが嫌などがあるようです。

孤独感、無気力・・・定年後に趣味などがない人はどういう生活を送るのか?

先程定年後の過ごし方についてお話ししてきましたが、もちろん全員がそのような過ごし方をしているわけではありません。

定年を迎えたときから抜け殻のようになってしまう、いわゆる「燃え尽き症候群」に陥ってしまう人もいるようです。燃え尽き症候群に陥りやすい人の特徴としては、努力家でひとつのことに対して一途に取り組む人、つまり、仕事に情熱を傾けていた人ほど陥りやすい傾向にあると言われています。

分かりやすく言うと「趣味=仕事」といった人で、仕事以外に夢中になるものがなかった、あるいは仕事以外に興味がない人は、燃え尽き症候群に陥りやすいといえます。

さて、それでは、定年後に趣味などがない人や燃え尽き症候群になってしまった場合、どういった生活を送ることになるのでしょうか。

一日何となく生活する

定年後に趣味などがない場合、一日を何となく過ごすことになります。

朝から晩までやることがないからとりあえずテレビばかり見ている。テレビに飽きたら昼寝をし、起きたらまたテレビばかり見ている・・そんなメリハリのない生活を送ることになります。

目的もなくテレビを見ているので、特に面白みを感じることもなく、気がつけば一日が終わっていたなんてことも珍しくありません。

総務省では、国民の一日の生活時間についての調査を実施していますが、65歳以上の無職者の男性の一日は「睡眠」と「テレビ」が一日の大半を占めている衝撃的な結果が出ています。

パチンコやギャンブルにのめり込む

テレビばかりの生活以外にも、パチンコやギャンブルにのめり込んでしまうこともあります。

元々パチンコやギャンブルが好きだった人はもちろんのこと、そうではない人も定年後は自由時間がたくさんあるので、軽い気持ちでお小遣い稼ぎに遊びに行く人もいるようです。

ただ、遊びだと割り切っている間は良いですが、一旦のめり込んでしまうとなかなか抜け出せないのがギャンブルの怖いところ。生活費さえもパチンコやギャンブルに使ってしまうという人もいるのだとか・・。

居場所を求めてさまよう

定年後に趣味がない場合、家でテレビばかりの生活、ギャンブルにのめり込むの他、自分の居場所を求めてさまようこともあります。

近年多くなっているのが、商業施設などに入る「ゲームセンター」となっており、メダルゲームで一日入り浸るということもあるようです。パチンコやその他のギャンブルに比べてかかる金額が少なくなるので、利用しやすいという面もあるようです。

人によっては市民図書館などで新聞や雑誌を読んで、あまりの快適さに眠りに落ちてしまう人もいます。

家族関係もギクシャク・・

定年後、趣味なども持たずテレビばかり見ているシニアは、高い確率で家族関係がギクシャクしがちになるようです。

ある定年を迎えた男子の話を例に出すと、再就職を考え動いていたそうですがなかなか決まらず、特に趣味もなかったので一日家に居ることがざらだったそうです。

なかなか仕事が決まらない焦りやストレスは、自分以外の他の家族、特に奥さんに剥けられるようになり、奥さんが電話で友人と話していると「電話が長い」と怒り、出かけるときには行き先を言わないと怒り、少しでも帰宅時間が遅くなると「どこをほっつき歩いていたんだ!」と怒る。当然ながら、夫婦げんかが絶えなくなり、家族会議を開くほどだったそうです。

奥さんにしてみれば、家でだらだらテレビばっかり見ている旦那さんの方が余程イライラするもの。だからこそ、「熟年離婚」というものが起きることに、早く気づいておいた方が良いと言えます。

定年後にテレビばかりの生活の弊害とは?

もうお気づきかと思いますが、定年後にテレビばかりの生活は「百害あって一利無し」、場合によっては家族関係すら危うくする危険があります。また、その他にも定年後テレビばかりの生活は、このような弊害があるので注意が必要です。

体力の低下

一日中テレビばかりを見ている生活は、体力の低下に繋がるので注意が必要です。

定年を迎えたシニアはただでさえ体力の低下が気になるところですが、一日中だらだらと過ごし、家事なども行わずにテレビばかり見ていると、急激に体力は低下していきます。

自宅の階段の上り下りをするだけで息切れがする、ちょっとした段差でも躓いてしまうなど、基本的な生活を送る上で必要な体力も失われることになります。

肥満になる

身体を一切動かさず、一日テレビばかり見ている生活なのにも関わらず食事量は現役の頃と変わらないという人は、間違いなく肥満になります。

現役の頃は通勤だけでも軽い運動になっていたので、体重の増加は最低限に止めることが出来ました。しかし、シニア世代は消化能力や糖分をエネルギーに変える力が衰えてしまうので、ただでさえ太りやすくなっているのに、身体を動かしてもいないのに同じ量を摂取してしまったら、体の中に蓄積されてしまうのは火を見るより明らかですよね、。

認知症のリスクが高まる

定年後にテレビばかりの生活を送ることの最大の弊害は、認知症リスクが高まることです。

軽く体を動かしたり他の人と交流をすること、脳に良い刺激を与えることは認知症の予防に効果的とされていますが、テレビばかり見ている生活はどれにも当てはまりません。つまり、認知症の発症リスクが高まるということです。

もちろん、クイズ番組やニュースを見る、スポーツ観戦をすることによって脳に刺激を与えることはできますが、限りがあるのが現実と言えそうです。

定年後の生活を充実させるためにはどうすれば良い?

定年後の生活を充実させるためには、趣味を持ったりサークル活動や地域交流などのコミュニティに参加することがおすすめです。

株式会社ネオマーケティングが行った『全国の60歳以上の男女1,000名を対象に行ったアンケート調査』の結果によると、全体の63.8%が「趣味を通じて友人・知人ができた」と回答しています。

会社勤めをしていた頃は、職場の同僚や上司、後輩が友人・知人の役割も果たしていた場合がありますが、退職をしてしまうと、環境が変わったしまうため今までのような関係を築くことはできないものです。しかし、だからこそ、新しい人脈作りが必要になるわけで、趣味を持つことやコミュニティに参加することは、新しい人脈作りに最適と言えるわけです。

趣味を見つけるコツは「お試し」を活用すること

とは言え、無趣味の人が突然趣味を作ることは容易なことではありません。何をどうしたら良いか分からないものですよね。しかし、難しく考える必要はありません。

趣味を見つけるコツは、とにかく興味のあること、持ったことは何でも試してみることです。

もちろん、始めるのに高額なお金がかかるものは家族に相談することが必要ですが、自分で賄える範囲であればとにかく最初の一歩を踏み出してみましょう。

趣味を見つけヒントとしては、学生時代や若い頃に夢中になっていたものは、年齢を重ねても興味があるものです。学生時代の部活で行っていたものや、趣味で行っていたもの、興味のあったものに目を向けてみても良いかもしれませんね。

地域交流デビューは積極的に

地域交流やサークル活動を通して定年後の生活を充実させたい場合は、積極的に行うようにしましょう。というのも、シニアにありがちな、突然の体調不良や怪我など、自分に万一に事があったときに相談しやすい環境を作ることができるので、大切にしておきたいところです。

方法としては、地域に行きつけの場所を作ること。飲食店や銭湯、酒屋さん、たばこ屋さんなど、自分が利用しやすいところに顔を頻繁に出して、店員さんと仲良くなることから始めましょう。

また、近所をウォーキングするのも出会いのきっかけになります。ウォーキングをする人は、多くの場合時間を決めて行っているものです。早朝に行う人、夕方に行う人それぞれいるはずなので、決まった人に会う機会が自ずと増えてきます。

「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」、出会った際にはぜひ、挨拶をしてみて下さい。挨拶をすることで、グッと心の距離が縮まりますよ。

シニアにオススメのコミュニティとは?

ここからは、シニアにオススメのコミュニティづくりをご紹介していきたいと思います。

新しいコミュニティを作りたいけど、何から始めたら良いか分からない・・という人は、ぜひ参考になさってみて下さい。

ボランティア活動

「誰かの役に立ちたい」「体が動くうちに社会貢献をしたい」という人は、ボランティア活動に参加してみてはいかがでしょうか。

ボランティアと一言でいっても、さまざまなものがあります。例えば、地域で行うスポーツイベントのサポートスタッフ、観光で来日した外国人向けの通訳サービス、地域の子供達を見守る見守りボランティア、災害などが起こった際に泥のかき出しや荷物の運び出しなどを手伝う災害ボランティアなど多種多様です。

募集要項は地域の情報を発信してい広報などに掲載されているので、定期的に確認してみるといいでしょう。また、全国のボランティア情報を掲載しているサイトもありますので、興味のある方はチェックしてみて下さいね。

カルチャースクールなどの受講

定年を機に資格取得を目指している人の場合、カルチャースクールなどを利用して新しいコミュニティを作ることもできます。

例えば、料理教室や体操教室、書道、フラワーアレンジメントなど多くの講座があるので、自分がやってみたいと思うものや興味のある講座を受けてみましょう。同じ目的で講座を受ける人同士となるので、仲良くなるのも早いと言えます。

カルチャースクールカーストにご用心!?

ただし、1点だけ気をつけておきたいポイントがあります。それは、カルチャースクールカースト。カルチャースクールカーストとは、文字通りカルチャースクール内での格付けのことです。

カルチャースクールに通う人は大きく2つに分けることができます。その事柄をさらに上達させるために通っている人と、定年後の趣味として気軽に始めたい人の2つに分けることができ、幸か不幸か、その人達が一緒に学ぶのがカルチャースクールのメリットでありデメリットでもあります。

上級者やベテランの悪気ない叱咤激励にプレッシャーを感じてしまい、老後の楽しみで入ったはずのカルチャースクールがストレスの原因になってしまうこともあるのです。

カルチャースクールを選ぶ際は、体験入学や見学をして、自分の性格にあったスクールか検討してから入学するようにしましょう。

SNSサービス

SNSを使ったコミュニティというと若い人のものではないかと考えがちですが、最近ではシニア向けのSNSサービスが多く見られるようになっています。

例えば、富士通が運営する「らくらくコミュニティ」はシニア向けのコミュニティサイト。「らくらくホン」や「らくらくスマートフォン」に提供されているサービスで、ユーザー同士が交流することができるサイトとなっています。

もちろん、らくらくスマートフォンのユーザーではなくても会員登録をすれば誰でも利用することができるので、気になる人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」も利用者の7割が50代以上とシニア世代の利用が多く、60~70代を中心に約8万人が利用しています。「始める・繋がる」がテーマとなっており、新しいコミュニティを気軽に探すことができます。

写真の投稿もできるので、写真が趣味の人、あるいはこれから写真を始めてみようと思っている人にオススメかも!?

その他、「シニアコム」も定年後のシニアのお役立ち情報や、ブログや写真を通じて他のユーザーと交流することができます。

定年後のシニアに大切なのは「きょういく」と「きょうよう」

趣味を始めるにせよサークル活動や地域交流を始めるにせよ、定年後のシニアにとって大切とされていることがあります。それは「きょういく」と「きょうよう」です。

この言葉は、シニア世代に人気のタレント毒蝮三太夫さんが話されたことで、「きょういく」は「教育」ではなく「今日行く場所がある」、「きょうよう」は「教養」ではなく「今日する用事がある」ことをさしています。

今日行く場所があるということは、自ずと外に出て街の空気や時間の流れに触れることができます。また、今日する用事があるということは、決められた時間にその事柄を責任を持って遂行することによって、満足感を得ることができます。

定年後は自分からアクションを起こさなければ、あっという間に老け込むと言われています。一日中だらだらとテレビばかり見ていては、身体も心も一気に老け込んでしまうことでしょう。

そうならないためにも、趣味や自分にできるサークル活動、地域活動を行って、社会的な繋がりを保つようにしておきましょう。

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