人生100年時代においては、定年後のシニア生活も非常に長い時代になってきています。
昭和・平成においては、60歳で退職したあとの10年・20年を年金と貯金でゆっくり過ごしながら生きていくというライフスタイルも多かったですが、令和の時代においては大きく変わってきています。
今までの『定年後』・『老後』というのは余生、余った少しだけの時間という意味が強かったと思いますが、これからは第二・第三の人生ステージと言えるだけの長さがあります。
65歳から35年生きると考えると、コミュニティや生きがい・趣味といったものなしでは、充実した生活を送れるとは言い難いと思います。
長い老後の人生を充実させることが、人生そのものの充実に繋がるともいえるでしょう。
定年後に無趣味だとどうなる?
今までずっと会社勤めだった人は、定年後に自由を満喫できる・何もないことは最高だと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、実際に自分の力で自由を楽しむということは非常に難しいことでもあります。
今回こちらの記事を作成するにあたり協力して頂いた、公務員を退職後にライター活動をされているMさんの経験によると、
Mさんの経験談
最初の1ヶ月ぐらいは非常に開放感があって楽しく感じていたのですが、3ヶ月以上たってくるとやることが無くなってくる・生活のメリハリが無くなってくると感じてきました。
実際に会社を退職した後、3ヶ月も経つと1日に1つの行動しかしない日も増え始めました。
どういう事かと言うと、1日のうち生産的な行動、例えば買い物にいく、役所に手続きに行く、といった行動1つで1日が終わってしまうのです。
働いている時は朝は会議を2つこなして、午後は外に出て、夜は会食をして、と1日にいくつもの行動をしていましたが、退職後はそれが嘘のように動かなくなってしまいました。
毎日暇だな、やることがないなと思って過ごしたまま、いつのまにか日々が終わってしまいます。外に出ないので身体は衰えるし、人と会わない・喋らないので頭を使わず物覚えも悪くなる悪循環が続きました。
Mさんがこれらを脱したのは、ライターとして記事を書いてみようと新しい活動にチャンレンジし始めたからとのこと。
趣味やアクティブな活動が一つでもあればそれに熱中して頭を使う・身体を動かすなどといったことが出来るので、無趣味の人は充実したシニア生活のためにも、何かしらチャレンジすることが良いと思います。
定年後の活動に関するデータ・調査
ここからは定年後に何からしらの活動をしている方が、身体や心にどんな影響があるのかについて、各種データを調べてまとめてみました。
グループ活動をしている人のデータ
『男性定年退職者の定年後の暮らしの再構築に関する研究』において、元サラリーマン5人へのインタビュー・観察内容が非常に興味深かったのでご紹介させていただきます。
この状況を打破するために、5人の方は米作りという、退職後の新たな行動を始めました。もちろん実際に行っている活動は専業農家とは違い生計を立てるものでは無かった様ですが、
- 機械化しない手作業での共同作業
- に井戸掘り(手掘り)
- 子供の自然観察会などのイベント
- 外部からの見学者・訪問者等との交流
この5人の男性の方たちは、米作りや上記の活動を通して、行き場所・やること・自分の居場所・役割を獲得できたことにより、充実した生活を取り戻すことが出来たという調査結果が出ています。
定年後も働いている人に関するデータ
慶應義塾大学の岡本翔平氏らが、日本人男性を対象として、60歳以降も仕事を継続している人とそうでない人の、死亡年齢・認知機能低下・脳卒中・糖尿病のリスクを比較する研究した結果、働いている人の方が健康的である可能性が高いとの発表がありました。
働いている(就労している人は)、そうでない人に比べて、
- 死亡までの期間(寿命)が1.91年長い
- 認知機能低下までの期間が2.22年長い
- 糖尿病発症までの期間が6.05年長い
- 脳卒中発症までの期間が3.35年長い
また被雇用者(従業員)と自営業の方を比べると、自営業の人の方が寿命が長い結果になった。※ただし糖尿病・脳卒中に関しては差異はなし。
Shohei Okamoto,a Tomonori Okamurab & Kohei Komamurac
定年後の生活を充実させるには
まずは定年後の自分の朝から夜までの1日を想像してみましょう。食事・睡眠・入浴以外にどれだけ書き込めるか、どれだけ自由な時間があるのか把握することがスタートです。
この時間を持て余してしまう人の方が多いと思いますので、余った時間を埋めるための準備を始めましょう!
シニアライフを充実させるためには趣味・習い事・ボランティア活動などが挙げられます。一つのことだけに集中するのも良いですし、複数組み合わせて色んなコミュニティに属することがおすすめです。
特に今まで会社勤めで地域社会との関係性が希薄だったりすると、夫婦・家族のみしかコミュニティがなく、より鬱屈とした状態になる可能性が高まってしまいますので注意が必要です。
人気の趣味とは?
当サイトが1,000人の方向けに実施したアンケートによると、旅行・園芸・読書・映画鑑賞などが人気の趣味でした。
それ以外にも登山・釣り・ドライブなどアクティブな活動も多くの方が行っている・これから始めようとしているようです。
また習い事としては、ケイコとマナブ 2017年 人気おケイコランキング<シニア層 50~69歳 女性・男性>の結果を参考にすると、
女性 | 男性 | |
1位 | 英語 | 英語 |
2位 | ヨガ・ピラティス | フィットネスクラブ |
3位 | フィットネスクラブ | ゴルフ |
4位 | エアロビクス | ウォーキング |
5位 | 書道 | カメラ |
男性・女性ともに英語を習ってみたいという方が1位、フィットネスがそれぞれ3位・2位と上位の結果となっていました。
習い事として英語を勉強して、海外旅行を趣味としていきたいという方が非常に多いことがわかりますね。
ランキングには入りませんでしたが、男性の習い事としてはプログラミング・動画といったものを挙げる方が増えて来ているのも特徴的だと思います。
今は本当に色んな趣味・活動のある時代ですので人気の趣味をもっと知りたいという方は是非こちらの記事を参考にしてみて下さい。
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コミュニティ・生きがいつくりとしてのボランティア
定年後の活動として挙げられるものとして、個人的な趣味や活動以外だとボランティア活動も人気です。
地域・自治体のお手伝いからNPO活動への参加など種類も様々です。内閣府の出している令和元年版高齢社会白書:社会的な活動の実施状況によると、
が26.5%と最も多く、「趣味やスポーツを通じたボランティア・社会奉仕などの活動」が17.5%となっている。一方で、「特に活動はしていない」人は60.1%を占めている。
高齢者の社会参加と生きがいづくりが全体として推進されていますので、老人クラブや、有償ボランティア活動などこれから益々盛んになっていくと思われます。
地元の社会活動を通して地域の人との関係性を築き上げる、対外的なボランティア活動を通して新しい交友関係や外からの刺激を得るといったことがシニアライフにおける生きがいとなり得るでしょう。
ボランティア活動はただの慈善活動というだけでなく、定年退職者の方たちにとっても新しい関係を獲得し,アイデンティティを再構築させるための方法の一つになりうるとも考えられています。
定年退職後の居場所作り・アイデンティティ維持という面からもボランティア活動は有益で、特に会社や仕事に情熱・忠誠心をもっていた方には特におすすめとも言えます。
家に居ても居場所がない、毎日やることが無いと嘆いてしまうこともあるかと思いますが、せっかくの人生100年時代を楽しむためにも、新しい趣味・習い事・アクティビティなどに目を向けて、これからのシニアライフを充実させてみてはいかがでしょうか。