老後の一人暮らしには、「寂しい」「孤独」といったネガティブなイメージがある一方で、「悠々自適」「気楽」といったポジティブなイメージもあります。さて、実際のところはどうなのでしょうか?
今回は、老後の一人暮らし事情を徹底調査!老後の一人暮らしの現状と楽しく過ごすために見つけておきたい、趣味やコミュニティについてご紹介していきたいと思います。
目次
実際に老後一人暮らしをしている人はどれ位いるの?
ここでは、実際に老後一人暮らしをしている人がどれ位いるのかを見てみることにしましょう。
内閣府の「平成29年版高齢社会白書」の高齢者の家族に関する調査によると、65歳以上の高齢者の一人暮らしは年々増加傾向にあり、昭和55(1980)年では男性で約19万人、女性は約69万人だったのが、平成27(2015)年では男性は約192万人、女性に至っては約400万人が一人暮らしをしている結果に。
この数字は今後も増えていくと予想され、令和17(2035)年には男性は約260万人、女性は約500万人と更に一人暮らしの高齢者が増えるとなっています。
最近はあえて老後の一人暮らしを選択する人も
老後の一人暮らしと聞くと、配偶者と死別してしまった、あるいは息子・娘夫婦と同居させてもらえず一人で暮らしているなんて印象を持ちがちです。確かに、一昔前はそうしたことが起こっていたかもしれませんが、最近ではまったく逆の観点で老後の一人暮らしを楽しんでいる人が多くいます。
先日、ネットの設定でお客さんの家に行ったのですが、この方はすごく上品な女性(77歳)で大きな家に一人暮らし。ピアノの先生をしていて、喋り方も若々しく、多趣味。音楽、読書、Youtube、英語学習、運動など毎日時間が足りないそう。一人暮らしでも十分楽しいそうです。
まさに理想的な老後だわ。— にいだ@NZ?? 移住系海外エンジニア (@niida_nz) August 6, 2020
人生100年時代の到来と話題だ。定年後、30年以上にもなる時間を如何に健康を保ち、充実させるか。シニア時代の生き方が問われる。一人暮らしイコール孤独では無い。趣味を持ち、居場所を作る事で、刺激や学びがあり、かえって自分の方が元気になる事も多いのでは?さあ〜雨の日も元気でキラキラと!
— @琉球温熱 (@ryukyu_onnetsu) June 14, 2018
老後の一人暮らしを楽しんでいる人の中には、ちゃんと「我が家」が存在するのにもかかわらず一人暮らしを選択する人も。つまり、配偶者が存命でも、あえて一人暮らしを選択しているということです。
AERAdot.にこんな記事が掲載されていました。
離婚をしたわけではなく、当然ながら今でも歴とした夫婦ではありますが、得意の料理の腕を活かし高齢者施設の食事を作る仕事に就いているそうです。人生初の一人暮らしを謳歌しているようで、ハッピーという言葉も出ています。
生活様式が多様化してきた現在は「老後=一人暮らし=寂しい」では決してなく、自分のセカンドライフを充実させるための手段として一人暮らしを積極的に取り入れているといえそうです。
老後の一人暮らしを楽しめる人と楽しめない人の違いは?
では、老後の一人暮らしを楽しめる人と楽しめない人の違いはどんなところにあるのでしょうか。
ここでは、老後の一人暮らしを楽しめる人の特徴と楽しめな人の特徴を分析していきたいと思います。あなたはどちらの特徴に当てはまりますか?
老後の一人暮らしを楽しめる人
老後の一人暮らしを楽しめる人の大きな特徴として、何か夢中になるものがある、ポジティブな性格であることなどがあげられます。
日々の生活の中で興味関心のあるもの、あるいは趣味など何か夢中になるものがあると、老後の一人暮らしを存分に楽しむことができるといえます。先程ご紹介した一人暮らしを楽しんでいるシニア達も、何かしらの趣味を持っていました。一応に充実したセカンドライフを過ごしていることから見ても、趣味などは持っていた方が良いいえます。
また、何でもやってみようとするポジティブな性格も欠かせないと言えます。年齢に関係なく、一人暮らしは何でも自分で行うのが基本になります。何十年と生きてきて初めて行うものも出てくるかと思いますが、臆さずに取り組むことができるチャレンジ精神や、物事を前向きに捉えることができるポジティブシンキングの人は老後の一人暮らしを楽しむことができるでしょう。
また、静かな環境を好む人も老後の一人暮らしを楽しめるといえ、自分以外誰もいないシーンとした空間を違和感なく過ごせる人は、しっかり一人暮らしを楽しむことができるでしょう。
老後の一人暮らしを楽しめない人
一方、老後の一人暮らしを楽しめない人の大きな特徴は、片付けができない人、冒険心のない人などがあげられます。
老後の一人暮らしにおいて、片付けができるかできないかはとても大切な部分。部屋がキレイに片付いている人は健康的な生活を送ることができており、自分の生活をしっかりとコントロールできる人と言えます。つまり、片付けができない人の場合はその真逆となる訳で、やや不安が残ると言わざるを得ません。
ネガティブな発想になってしまうのもその点に結びつけることができ、せっかくの老後の一人暮らしを謳歌するどころではなくなるでしょう。
また、冒険心のない人も老後の一人暮らしには不向きと言えそう。チャレンジすることが少なく、新しいことを始めるよりも安定を求めるという人は、老後の一人暮らしという未知の領域に対して不安を持ってしまうかもしれません。
気を遣わないし遣われない・・老後の一人暮らしの楽しみは?
さて、ここからは老後の一人暮らしの楽しみについて掘り下げていきましょう。
先程から話に出ているように、今や老後の一人暮らしはひとつの生活スタイルとなっており、配偶者との死別などの理由以外にも一人暮らしを選択している人がいます。
そうした人達は、どういうところに魅力を感じて老後の一人暮らしを選択したのでしょうか?
気を遣わないし遣わせない
老後の一人暮らしについて調べていくと、「気を遣わないし気を遣わせなくて済む」という言葉をよく目にしました。
気を遣わないというのは想像通り、自分一人なので誰にも気兼ねすることなく好きなことができるということですが、では気を遣わせないとはどういうことなのでしょうか。
気を遣わせないの真意は、同居人への配慮があるようです。もっと具体的に間柄を出すのならば、自分の子供、あるいはその配偶者、つまり娘夫婦、息子夫婦に気を遣わせなくて済むということです。
また、それ以外にも、高齢者扱いをされずに済むという意味合いも含まれており、身近な人に年寄り扱いされるのが嫌で一人暮らしを選択したという人が多いようです。
気兼ねなく自分の好きなことができる、老後の一人暮らしならではの楽しみといっても良いかもしれませんね。
自由な時間が手に入る
次に多く目にしたのが、「自由な時間が欲しかった」という言葉です。
何歳くらいから老後になるのかは人によって捉え方が異なるため一概には言えませんが、個人年金などの老後資金を使い始める時期を老後とさすことが多く、年齢に換算すると平均65.9歳となるそうです。(参考:公益財団法人 生命保険文化センター)
つまり、それまでの時間は何かしら他のことに費やしていたことになります。仕事はもちろんのこと、子育てや親の介護など、自分の時間に充てることができなかった今までの時間を、老後に取り戻すといった感覚になるのではないでしょうか。
この感覚は男女で言えばどちらかと言うと女性に多く、老後の第二の人生を謳歌するために意義ある決断をしたという人が多いようです。
誰かのためにではなく自分のために時間を費やすことができるという点も、老後の一人暮らしの楽しみのひとつと言えそうです。
好きなことに没頭できる
自分の好きなことに没頭したい人にとって、時間はいくら合っても足りないものです。老後に一人暮らしをすることで、時間を気にすることなく自分の好きなことに没頭できる。だから一人暮らしを選んだという人もいます。
一緒に暮らす人がいると、否応なしに生活スタイルを共有しなければならない部分がありますが、一人暮らしの場合、好きなときに起きて、好きなときにご飯を食べて、好きなだけ趣味などに没頭するなど、すべてが自分中心に回すことができます。
好きなものほど寝る間を惜しんで没頭したいものですから、老後の一人暮らしをすることで、思う存分好きなことに没頭できると言えるでしょう。
趣味をつくるのがポイント!?老後の一人暮らしを楽しむコツは?
老後の一人暮らしを楽しむコツはいくつかあります。ここでは、老後の一人暮らしを楽しむためのコツをご紹介していきましょう。
充実したセカンドライフを謳歌するために、ぜひ参考になさってみて下さいね。
趣味を作る
老後の一人暮らしを楽しむためには、何と言っても趣味を作ることです。
趣味を作ることによって、老後の一人暮らしは何倍も楽しくなると言っても過言ではありません。趣味を持つことで達成感や充実感を得ることができ、日々蓄積されるストレスを解消することができます。
老後の一人暮らしにおすすめの趣味としては次の通りです。
ウォーキング
ウォーキングはお金を掛けずに行える趣味のひとつ。その上、年齢に関係なくいつからでも始められるので、定年後のシニアに人気の趣味です。
体の血の巡りを良くし新陳代謝も促進される有酸素運動に分類されるウォーキングは、シニアにが気になる生活習慣病の予防にも効果的です。
家庭菜園やガーデニング
野菜などを作る家庭菜園や、花や植物を育てるガーデニングもシニアにオススメの趣味です。
プランターなどの鉢を使えばマンションのベランダでも栽培することが可能なので、場所を選ばずに植物を育てることができます。家庭菜園を行うスペースがない場合は、シェア畑や自治体が運営する貸し畑を利用して野菜を作ることもできます。
映画鑑賞
映画鑑賞もシニアにオススメの趣味のひとつ。シニア割引を使うことで、通常よりも安く映画を鑑賞することができます。
また、映画館まで足を運ばなくても動画配信サイトを利用することで、いつでも好きなときに映画を視聴することもできます。昔見た思い出の作品や不朽の名作も見ることができるので、時間を忘れて楽しむことができるかも!?
将棋・囲碁
将棋と囲碁はシニアの趣味として定番中の定番ですが、最近では若手棋士たちの活躍でシニア層以外にも人気が高まっています。
将棋や囲碁は相手がいなければできないと思われがちですが、そんなことはありません。もちろん、相手がいるのがベストですが、最近ではコンピュータを相手に将棋や囲碁を差すこともできますし、インターネット回線を利用して、世界各地の人と将棋や囲碁を指すことができます。
ボランティア活動に参加する
社会奉仕に関心がある場合は、ボランティア活動をしてみてはいかがでしょうか。
例えば、地域の交通安全活動は登下校中の子供達の安全を見守ったりする活動で、地域のシニアが積極的に参加しています。また、地域活動で言えば、高齢者や解除を必要とする人の見回り活動もあります。いずれも、地域に密着したボランティア活動になるので、地域のために体を動かしたいという人にオススメと言えそうです。
その他、日本に留まらず世界に目を向けるのなら「JICA海外協力隊」のシニア対象のボランティアもあります。応募要件をクリアしなければいけませんが、開発途上国の人のために自分のスキルや力を活かすことができるのは、大きなやりがいを感じることでしょう。
勉強をする
新しい知識を学びたい人は勉強をしてみてはいかがでしょうか。
資格取得を目指すのも良いですし、自分の興味のあることを学ぶのもいいでしょう。学生時代に好きだった科目を改めて学び直すのも良いかもしれません。また、SNSを活用するためにパソコンの勉強やインターネットの勉強をするのもいいですね。
サークル活動
有人や趣味の仲間を作りたいなら、サークル活動に参加してみてはいかがでしょうか。
老後の一人暮らしは気ままでいいとは言え、世間話や同じ趣味の話ができる友人や知り合いが欲しいものですし、誰かに会うことは認知症の予防にもなるので、シニアにとってとても大切なことと言えます。
地域で発行している広報誌には、「〇〇クラブ会員募集のお知らせ」や「〇〇教室生徒募集」などのお知らせが掲載されているので、気になるサークルがあったら問い合わせしてみるといいでしょう。
多くの場合、1日体験入学や見学ができますので、いきなり入会するのに抵抗がある人やサークルの雰囲気を見てから入会を決めたい場合は利用してみましょう。
SNSを活用する
最近はSNSを使ってコミュニティを広げることもできます。
SNSの良いところは、インターネット回線を使って他の地域の人や全世界の人と繋がることができるところ。よりたくさんの人とコミュニケーションを取りたい人にオススメです。
シニア向けのコミュニティサービスも多く発信されており、例えば、富士通の運営する「らくらくコミュニティ」はシニアが安心して利用しやすいSNSサービスとなっており、約180万人の人が利用しています。
「シニアコム」もシニア向けのサイトとなっており、会員同士がコミュニケーションをとれる他、趣味や美容の情報が盛りだくさんとなっており、見ているだけでも楽しむことができます。
老後の一人暮らしを楽しむための趣味選びのポイントは?
老後の一人暮らしを楽しむためには、趣味づくりが欠かせないとお話ししてきましたが、実際に趣味を作ることはそう簡単なことではありません。
ここでは、老後の一人暮らしを楽しむための趣味選びのポイントをご紹介していきましょう。
情報収集をする
趣味を見つけるときに、かなり大切になるのが情報収集です。
ひとりでできるものなのか、あるいは複数で行うものなのか、自分が長く続けることができるものなのかなど、しっかり調べておきましょう。
また、押さえておきたいのが「お金がかかる趣味なのか」という点です。
年金で生活していくシニアにとって、お金の問題はかなりシビアな問題です。使える金額に個人差はあるかと思いますが、大きな出費は避けたいところです。
その趣味を始めるのにどれ位のお金がかかるのか、続けていくにはどれ位のお金が必要なのかなども調べておくようにしましょう。
昔好きだったことを思い出す
趣味を見つけるポイントとしては、昔好きだったことは趣味になりやすいと言えます。
一度興味の持ったことなので趣味候補としては有力と言えるでしょう。
何かしらの原因があって挫折してしまった趣味の場合でも、シニアになった今なら出来るものもあるかもしれません。
例えば、一人旅が趣味だったけれど時間が作れずに挫折したというケースでは、シニアになった今なら時間的に余裕がありますよね。
このように、昔好きだったことは現在の趣味になり得るものといえますので、一度思い返してみて趣味にできそうか検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は老後の一人暮らし事情を調べてきました。老後の一人暮らしを楽しむためには、趣味やコミュニティづくりが大切です。特に趣味は、一人で黙々と行えるものもありますが、趣味を通して新しい人脈を築くきっかけにもなります。
老後の一人暮らしを検討中の方や、既に一人暮らしをしている方で充実したセカンドライフを過ごしたい方は、ぜひ参考になさってみて下さいね。