高齢者向けサービス

話し相手サービスで高齢者の生活を豊かに - 新たなビジネスの可能性とは?

高齢者の孤独感と社会参加の問題解決に向けた新たなビジネスが注目を集めています。特に、話し相手サービスというビジネスが、高齢者のQOL(Quality of Life)向上に大きな可能性を秘めていると言われています。

本記事では、この新たなビジネスの可能性と課題、そしてその未来を探ります。

高齢者の孤独感と社会問題

高齢者の孤独感は、近年の社会問題として大きな注目を集めています。特に、一人暮らしの高齢者や、家族とのコミュニケーションが少ない高齢者は、孤独感を強く感じる傾向にあります。これは、心の健康だけでなく、身体の健康にも影響を及ぼすという研究結果もあります。

孤独は、人間の社会的ネットワークが崩壊した際に引き起こされる現象であり、心的ストレス、認知能力の低下などを引き起こします。日本における孤独の統計はこの問題の重大性を示しており、2023年の調査によると、日本人のうち約40.6%が稀に孤独を感じると報告しており、18.4%は孤独を感じたことがないと述べています(参考:Frequency of feeling lonely in Japan as of January 2023)。

しかもこの数値は全年齢層に対するものであり、特に高齢者に焦点を当てたデータを見ると、孤独がより深刻な問題であることが明らかになります。

日本は急速に高齢化社会を迎えており、この問題は今後さらに深刻化すると予想されます。政府や地方自治体、各種団体などが高齢者の孤独感解消に向けた取り組みを行っていますが、なかなか根本的な解決には至っていません。

一方で、この問題解決に向けた新たなアプローチとして、ビジネスの視点から取り組む動きも見られます。その一つが、高齢者向けの話し相手サービスです。

話し相手サービスの可能性

この高齢者の孤独感を解消するために、話し相手サービスが注目されています。高齢者との会話を通じて、孤独感を軽減し、心の健康を維持することが期待されています。また、話し相手サービスは、高齢者が社会とつながる一つの手段ともなります。

話し相手サービスは、高齢者が自宅や施設などで、訪問者やオンラインを通じて他人と会話を楽しむことができるサービスです。訪問者は、高齢者の話を聞いたり、一緒に散歩をしたり、趣味の話をしたりと、高齢者の心を豊かにするための役割を果たします。

このサービスは、高齢者が自分の思いや経験を共有することで、自己肯定感を高め、孤独感を軽減する効果があります。また、定期的に人と接することで、生活リズムを保つ助けにもなります。

話し相手サービス一覧

ざつだん

株式会社2Lが提供開始した会話サービスで法人・個人の両方に対応。

公式サイト:https://www.2lcorp.info/

会話サービス「ざつだん」は、雑談内容は様々。お客様の話をずっと聞く訳ではなく、適度に自分のことも話し、お客様に会話の楽しみを提供します。

善き隣人バンクーお話し相手・付き添いサービスー

善き隣人バンクのお話し相手・付き添いサービスは、医療や介護でカバーしきれない「心の痛み」に寄り添うためのサービスで、2021年より一般社団法人として活動しています。

公式サイト:https://rinjin.net/

「善き隣人バンク」の働きは「傾聴」を通して多岐に展開します。

シルバーコールセンター

シルバーコールセンターは高齢者見守り・高齢者安否確認・お話し相手サービスを行っています。お話し相手サービスは10分程のサービスオプションで、孤独の解消・うつ病の予防を担っています。

公式サイト:https://schemea.jp/

海外のサービス

アメリカでPapa(パパ)という名前の会社は、高齢者に簡単な生活支援を提供するためのサービスを提供しており、介護にまでは至らないものの、日常生活でちょっとした不便を抱えた高齢者たち向けに「Papa Pal(パパ・パル)」と呼ばれる登録スタッフが支援する仕組みを始めました。

支援内容は実に幅広く、買い物に付き添って荷物を代わりに持つだけでもいいし、パソコンの使い方を教えるだけでもいい。洗濯や料理の準備を手伝ってもいいし、映画を一緒に見るだけでもいい。介護とまではいかなくとも、独りでは不安な日常生活をサポートするというものです。

ちょっとした会話やコミュニケーションを通して、人と人のふれあいを大切にした温かいサービスとなっています。

ビジネスモデルとその課題

話し相手サービスのビジネスモデルは、さまざまな形があります。例えば、定期的に訪問して会話をするサービスや、オンラインでの会話サービスなどがあります。これらのサービスは、高齢者だけでなく、その家族やケアマネージャーからも高い評価を得ています。

しかし、これらのビジネスモデルには、人手不足やコスト、プライバシーの問題など、さまざまな課題が存在します。特に、人手不足は深刻な問題で、訪問者を確保するためには、適切な報酬と研修体制が必要となります。また、高齢者のプライバシーを保護するための対策も求められます。

テクノロジーの活用

これらの課題を解決するためには、テクノロジーの活用が期待されています。AI(人工知能)やVR(バーチャルリアルティ)などの最新技術を活用することで、人手不足やコストの問題を解決し、高齢者に安全な会話の場を提供することが可能になります。

例えば、AIを活用したチャットボットは、高齢者との会話を通じてその心の状態を理解し、適切な対話を提供することが可能です。また、VRを活用することで、高齢者が自宅にいながらにして、様々な場所や経験を楽しむことができます。

これらのテクノロジーは、話し相手サービスを提供する上での新たな可能性を示しています。しかし、テクノロジーの活用には、高齢者がそれを使いこなすためのサポートや、テクノロジーによる排除を防ぐための配慮が必要です。

高齢者向けのコンパニオンロボット

アメリカのニューヨーク州では高齢化社会に対応した新たな取り組みとして、人間とやりとりできるロボットの活用を進めており、コンパニオンロボット「ElliQ(エリーキュー)」を高齢者800人あまりに提供したというケースもあります。

ElliQには、下記のような機能が搭載しているとのことです。

・ロボットには健康のために運動を勧めたり、薬を飲み忘れていないか確認するといった機能

・高齢のユーザーにちょっとした会話をしたり、ジョークを言ったりする

・ショートメールや動画アプリを使って友人や家族とつなげてくれたりもする機能

まとめ

話し相手サービスは、高齢者のQOL向上だけでなく、新たな雇用創出や地域活性化にもつながる可能性を秘めています。テクノロジーの進化とともに、これらのビジネスはさらに多様化し、高齢者の生活を豊かにすることでしょう。

また、話し相手サービスは、高齢者だけでなく、孤独感を抱える多くの人々にとっても有益なサービスとなり得ます。若者や働く世代、障害を持つ人々など、さまざまな人々がこのサービスを利用することで、より豊かな社会を実現することが可能となります。

高齢者の孤独感を解消し、社会参加を促進するためのビジネスは、これからの超高齢社会においてますます重要になるでしょう。テクノロジーの進化とともに、これらのビジネスはさらに発展し、高齢者の生活を豊かにすることを期待します。

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